朝鮮半島は戦後、国土が分割占領ブンカツセンリョウ・分割統治トウチされ、北朝鮮と韓国に分かれてしまいました。今も朝鮮半島は分断されたままです。また、かつてのドイツも、東と西に分かれていたのです。それは戦後から1990年にドイツが再統合されるまで45年も続いたのですね。国が分断される悲劇。日本に住んでいる我々には想像がつかない世界です。幸い、日本は国が分断されておりませんが、一歩間違えれば、そうなるところだったのです。

戦争末期、ワシントンで日本の分割占領が検討されていたのです。米統合参謀本部に統合競争計画位委員会というのがあって、日本を四分割する案が討議トウギされていたのです。

北海道と東北がソ連、関東甲信越と東海がアメリカ、近畿がアメリカと中国の共同統治、四国が中国、中国地方と九州がイギリス。そして、東京はドイツのベルリンと同じく、四カ国の共同統治という案でした。ちなみに中国とは今の中共が支配する中華人民共和国ではなく、蒋介石ショウカイセキが支配していた中華民国です。もし、この案が通っていれば、北海道と東北は北朝鮮と同じ社会主義国家になって、北朝鮮ならぬ北日本という国が誕生したかもしれない。ゾッとしますね。

では、なぜこのような分割案が出されたのでしょうか。色々理由があるのですが、最大の理由は、日本が本土決戦を選んだ場合の米軍の犠牲者ギセイシャを最小限に抑えるためでした。アメリカは、もし日本が本土決戦をしたら、百万の犠牲者が出るだろうと計算したのです。実際、当時の日本のウヨとか指導者は一億総玉砕って息巻いてましたから。

その犠牲を最小限に止めるため、ソ連に参戦を求め、さらに80万名は必要とみられる日本降伏後の占領要員も、分割占領によって30万名にとどめようとしたのです。すでに戦争末期で、アメリカは占領後のことまでシュミレートしていたのですね。

つまり、本土決戦という事態を防ぐための4分割だったと。



もし、本土決戦をしてマジで一億総玉砕していたら日本は間違いなく分割統治されたでしょうね。

北海道、本州、四国、九州を行き来するのにパスポートが必要になります。不便ですよね。特に北海道と東北がソ連に占領され、北朝鮮みたいになってたら大変でしたよね。そうなるとパスポートどころか今の北朝鮮のように北海道や東北に訪れること自体が難しくなるかもしれない。

それどころか、日本人がほぼ絶滅した隙をついて朝鮮人やら中国人やら、その他外国人が押し寄せてきたでしょうね。これは、国士さまにとって最悪のシナリオでしょう。神国日本が外国人だらけになるのだから。

近衛文麿は「昨今戦局の危急を告ぐると共に一億玉砕を叫ぶ声次第に勢を加えつつありと存候。かかる主張をなす者は所謂右翼者流なるも背後より之を煽動しつつあるは、之によりて国内を混乱に陥れ遂に革命の目的を達せんとする共産分子なりと睨み居り候」と天皇に警告していたのですね。つまり一億総玉砕なんてやったら、それこそ国内はめちゃくちゃになり、共産党の人間が革命を起こしやすくなるって。まさにソ連の思うツボになってましたね。内乱どころか、そのどさくさに紛れソ連が日本に侵攻する可能性だってあります。このような懸念をしていたのは近衛文麿1人ではないはず。実際、ゾルゲ事件のように、ソ連のスパイが日本の中枢に潜り込んでいましたからね。当時、一億玉砕だの本土決戦だの主張する国士が少なくなくなかったのですが、そんな国士様の中には、国士のフリしたソ連のスパイだっていたかもしれませんよ?

ところが、日本は本土決戦という道を選ばず、アメリカの想定よりも早く日本が降伏したのですね。それで日本を分割する必要がなくなったのです。本土決戦の空気の中、降伏の道を選んだ当時の日本政府の要人たちの苦労がしのばれます。

また、アメリカでも、日本分割案に反対する人がいたのです。ジェームズ・F・バーンズ国務長官をはじめ、国務省は分割占領は反対。トルーマン大統領もソ連を入れての分割占領には反対。トルーマンはすでにソ連を警戒していましたから。そして誰よりもマッカーサー元帥ゲンスイが分割統治に絶対反対していたのです。

マッカーサーは、他国の対日占領の参加を快く思っておらず、特にソ連の日本占領参加には絶対反対だったのです。マッカーサーはめっちゃ反共でしたから。

日本の降伏と、アメリカ政府の要人の反対もあって、日本の4カ国分割は免れたのですね。




ちなみに、ネットというかテレビでもスリランカが日本の4分割を救ったと言っておりますが、間違いです。1951年にアメリカで開催されたサンフランシスコ講和会議には、スリランカのジャヤワルダナ氏が日本の4分割について抗議したと言いますが、4分割云々が言われたのは戦時中。サンフランシスコ講和会議当時の日本は、GHQの支配がとっくに終わり、日本が国際社会に復活しております。だから、ジャヤワルダナ氏と4分割は時系列的にありえないのですね。





* 参考文献
図説 マッカーサー (ふくろうの本)
鋳郎, 福島
河出書房新社
2003-10-01