history日誌

へっぽこ歴史好き男子が、日本史、世界史を中心にいろいろ語ります。コミュ障かつメンタル強くないので、お手柔らかにお願いいたします。一応歴史検定二級持ってます（日本史）

1 香港の未来を暗示する光景
　香港。僕もいちどは訪れたいところ。ブルー・スリーの映画もそうですが、映画『慕情』のブダイにもなりました。さて、昔の香港にあって、今の香港にないもの。それは何でしょう？

ずばり、自由です。

今の香港には自由がありません。その香港の惨状はたびたび今も報道されます。香港は１９９７年に中国に返還されましたが、中国にとっては、めでたしめだたしですが、香港にいる人たちにとっては、それは歓迎すべきものではなかったのですね。中国が恐怖政治を香港でやるんじゃないかって懸念は実際、返還当初からありました。それどころか、８０年代からすでにそうした懸念もあったのです。

１９８２年にイギリスのサッチャー首相が北京に訪れ、��小平に香港の返還交渉の会談をおこなったのですが、その時も香港の未来を懸念する声もあったのです。この会談の直後、アクシデントが起こったのです。なんとサッチャー首相が階段から転げ落ちたのです。別にシャレを言っているわけじゃないですよw本当にあった話ですから。その光景は、その後の香港を暗示するような不吉な光景だったといいます。↓




ちなみに、その会談で交わされたのが

中国側の主張　　　１９９７年に香港を中国に返還する。それも香港全土。

イギリス側の主張　２０４７年まで一国二制度の維持、つまり香港に自由な自治権を与えてほしいと。

でした。しかし、このイギリス側の主張は守られることはありませんでした。それはおいおいお話しします。




２　香港の人口がふえたわけ
　香港がイギリスの植民地になったのは19世紀半ばの１８４２年。香港は人口わずか６０００人の小さな漁村もいまや６００万人もの国際都市となっております。香港の面積は東京都の半分ほどなのに、６００万もの人がいるとは、人口密度も半端ないですね。香港がこれほど人口が増えた理由はいろいろありますが、

  • 第二次世界大戦後、中国大陸が共産党と国民党が戦争になり、その混乱を逃れるため、
    多くの大陸の難民が香港に押し寄せた。


  • 国共戦争で共産党が勝利し、中国本土を支配した。それで財産を没収されることをおそれた上海の資産家たちも、自由をもとめ香港に流れた。


  • １９６０年代にも中国本土から難民が押し寄せた。毛沢東が始めた大躍進運動の失敗。それで多くの人が苦しみ、香港にやってきた。


  • 不法移民も多くやってきた。そうした不法移民が作り上げたスラム街が九龍城砦きゅうりゅうじょうさい

  • 汚職もはびこり、警察の高官までも逮捕されるほど

    たとえば、のちにアパレルメーカーのジョルダーノを創業するジミー・ライも子供のころ（１９６０年代）、毛沢東が支配する中国を逃れ香港にやってきました。ジミー・ライの回想を引用します。


    香港に到着した夜、工場に連れていかれ雑務員として働かされました。翌朝、朝食を食べに行ったとき、たくさんの食べ物が並んでいるのを初めて目にして、感激なあまり泣いてしまいました。私たちは工場に寝泊まりし、７時前に起きて夜１０時まで働きましたが、とても幸せでした。当時の香港は貧しかったですが、希望がありました。毎日、明日はもっと良くなるだろうと感じました。

    ジミー・ライの言葉を考えますと、いかに当時の中国は非民主主義的で貧しい国だったことがうかがえます。

    ３　自由な社会　香港
    そこへいくと香港は自由な社会でした。イギリスも香港において「レッセフェール」と呼ばれる自由放任主義をとったのですね。もうけるためなら自由。野垂れ死ぬのも自由とされたのです。経済的には自由で、豊かでありました。１９７０年代はGDP平均成長率１０パーセント以上の経済成長ぶりで、東洋の真珠といわれたのです。しかし、そうした経済成長はいいことばかりではありません。




    • 格差も半端なかった。人口の１パーセントにも満たない白人層が政治家とか有力な地位につけ、それ以外の中国人たちは十分な教育も受けられなかった。

    • 黒社会の暗躍。黒社会の首都とも呼ばれるほど犯罪者も多く、治安もよくなかった。

    • アヘンもはやっていた





    （九龍城砦。魔窟とよばれ、犯罪者たちや香港マフィアもここを根城にして、売春や麻薬も流行っていた。）

    そんな香港にも共産主義の波が押し寄せます。１９６６年に文化大革命が本土ではじまり、香港でも親中派の活動家たちが「イギリス帝国主義を打倒しよう」って呼び掛けたのです。そうしておきたのが六七暴動（１９６７年）でした。



    六七暴動もイギリス政府がそうした活動家たちの鎮圧にあたったのです。一方で、この六七暴動を通して、中国本土の恐ろしさ、自分たちとはものの考え方が違うってことを理解したのですね。


    ４　香港の民主化運動とジミー・ライ
    　しかし１９８９年の天安門事件がおこりました。さらに民主化運動家も次々逮捕。これは香港の人たちに衝撃を与えました。香港の人たちは、中国に返還されたら香港でも、天安門事件のようなことが起きるのではないかって思ったのですね。実際、返還前に海外に逃げた人たちも少なくありませんでした。そして、１９９７年に香港は中国に返還されましたが、イギリスと約束した一国二制度は早々と破られてしまいます。

    選挙にも介入し、民主化を訴えうる議員を排除。それを香港の人たちは雨傘をかぶってデモ活動を行いましたが、その時も中国政府はデモを弾圧。２０１９年には逃亡反条例を改正し、中国政府が危険とみなした人物の引き渡しを事実上認め、香港の民主活動家を逮捕することができるようになります。

    そして、反逃亡犯条例改正デモが市民たちの間で行われましたが、発砲さわぎになるほど、中国政府は激しく弾圧。そんな状況で、あえて中国政府と戦おうという人も現れました。ジミー・ライもその一人。ジミー・ライは私財をなげうって新聞社を作り「アップル・デイリー」という新聞を１９９５年に創刊し、それ以降、中国政府を一貫して批判し続けたのです。

    習近平は皇帝です。彼は中国を毛沢東の時代に戻したいのです。香港の人たちは、中国が香港の自由を奪おうとしているとはっきりわかっています。

    香港のメディアのほとんどが中国寄りになるなか、アップル・デイリーだけは中国の批判をやめなかったといいます。ジミー・ライは中国政府が最も警戒する男といわれました。そして、ジミーライは２０２０年に逮捕。

    主を失ったアップル・デイリーは２０２１年に廃刊に追い込まれたといいます。最終号を買うために多くの香港市民が行列を作ったとか。最後の紙面はこう書かれていました。

    リンゴが土に埋められれば、その種は木になり、より大きく、より美しいリンゴがたくさんなるでしょう。


    つまり、アップル・デイリーはなくなったけれど、自由を求める人々の運動はなくならない、その運動を続けていけば、きっと香港は以前のような自由で幸せな所になるということでしょうね。


    また、逮捕されたジミー・ライは今も裁判で戦っております。最後に近年のジミー・ライの言葉を。

    私はここに何も持たずにここに来ました。私がもっているものはすべて、この場所（香港）にあります。香港は私に「自由」を与えてくれました。私は「自由」に人生をかけます。

    ※　この記事は「映像の世紀」を参考にして書きました。

1　世界で最も民主主的な国



本題に入る前に↑の曲をお聞きください。この曲はアルノルト・シェーンベルクが作曲した曲です。アルノルト・シェーンベルクはユダヤ人の音楽家で、ドイツで活躍しておりました。彼が活躍したのは、当然、ナチスドイツ時代ではありません。その前のワイマール共和国時代です。彼だけではなく、ワイマール共和国ではユダヤ人が活躍したのです。

「ベルリンは新たに生み出される金と浪費。向こう見ずな行動とショーに満ち溢れた社会だった。そこではすべてのことが可能だった」

これはドイツのある音楽家が語った言葉で、1918年から1933年までのワイマール共和国について語った言葉です。ワイマール共和国は世界で最も自由な国を目指したのです。ワイマール共和国は帝政ドイツが第一次世界大戦で倒れ、その後に誕生した国です。世界でも民主的な国家ということで注目を浴びたのですね。ワイマール国はこんな感じでした。


  • イギリスやアメリカに先んじて、女性に参政権を与えた

  • 失業保険

  • 一日8時間労働を世界で最初に取り入れた。それで人々に余暇がうまれた

  • 平等権も与えられ、それまで差別されていたユダヤ人も日の目を見るようになった


当時、ドイツは世界でもっとも民主主義な国だといわれましたが、ワイマール共和国は１４年ほどで崩壊し、ヒトラーが権力を握って独裁的なナチスドイツへと生まれ変わったのです。北朝鮮のような国だったらともかく、民主主義的な国でなぜヒトラーが権力をにぎることができたのでしょうか？
理由はいくつも考えらますが、

  • 当時のユダヤ人に対するドイツ人たちの反感

  • ワイマール憲法の条文の欠陥

  • 敗戦国に重くのしかかった多額の賠償金


だと僕は考えております。


２　ユダヤ人に対する反感
ユダヤ人についてですが、先に先に挙げた、アルノルト・シェーンベルクもそうですが、ドイツの多くの銀行や著名な百貨店もユダヤ人が経営していたのです。ユダヤ人はむかしから、お金儲けが上手でしたから。

しかし、そうしたユダヤ人の活躍を疎ましく思う人間も少なくなかったのですね。もともとユダヤ人はヨーロッパの人から疎まれ、古くは中世ヨーロッパで黒死病が流行ったころや魔女狩りのときにもユダヤ人は目の敵にされ、多くのユダヤ人が殺されたといいます。

ワイマール時代においても、ユダヤ人の実業家でもあり政治家でもあったヴァルター・ラーテナウが極右青年グループによって暗殺されました。（１９２２年６月２４日）。

ある反ユダヤ主義者がこんな言葉を言っていました。

「１９２０年代は科学でも医学でも、あるいは文化面でも、すべてユダヤ人に支配されていた。明らかに金儲けができるような仕事は全部ユダヤ人が握っていた。我々ドイツ人にとっては全くやりきれないことだった」

この反ユダヤ主義者も、そうしたユダヤ人の活躍を快く思わず、のちに、ヒトラーが権力を握り、ユダヤ人弾圧をもろ手を挙げて支持したのでしょう。

３　多額な賠償金

　当時のワイマール政府にとって一番の頭痛の種は、フランスやイギリスなどの戦勝国から課された賠償金でした。第一次世界大戦は当時の皇帝ヴィルヘルム２世が野心をもっておっぱじめた戦争です。だから、本当は帝政ドイツが始めた戦争なのでワイマール政府にとっては本来無関係であり、いわば親の借金を子供が背負うようなものです。

しかし、戦勝国は「ドイツには違いないだろ」って、どこぞの金融屋みたいに「親の借金は子供が返すものだろ！」っていうようなもんですね。その賠償金の金額は1320億金マルク。日本円に直すと２００兆円を超えるというから驚きですね。当時のドイツの国家予算の２０倍とも３０倍ともいわれておりますから、こりゃ払えるわけありませんね。それどころか、戦勝国はドイツの工業地域であるルール地方を占領したのです。賠償金を滞ったという理由で。経済の生命線を失われたドイツの経済は大混乱。

ドイツはすさまじいまでのハイパーインフレになったのです。

たとえば、極端な例ですが

５月１日　ジャガイモ５キロ　１０００マルク
↓
５月２日　ジャガイモ五キロ　５億マルク
↓
５月３日　ジャガイモ五キロ　１０億マルク

てな具合に、日に日に物価が上昇、ていうかマルクの貨幣価値が下がったために、今まで安く変えたものが買えなくなったのです。紙幣も紙くず当然になったのです。ある舞台俳優は、ステージの出演料を半分使って、やっとソーセージ二本買えたというから、いかに当時のドイツがやばかったかがうかがえます。食べ物もろくに買えないから国民は飢えてしまいますね。社会がいくら自由になっても、これだけ物価があがり食べ物もろくに食べれなくなるようじゃ、国民の不満は高まります。

そんな状況に政府は手をこまねいたわけじゃなく、ときの首相シュトレーゼマンが全権委任法を制定しました。これは国会の審議を得ずに首相や大統領の権限を強める時限立法でした。そうしてシュトレーゼマンは経済と財政の立て直しを行い、新たな通貨レンテンマルクを発行しました。レンテンマルクの価値は土地を裏付けにしていたため、貨幣価値は安定し、インフレを治めることができたのです。さらにシュトレーゼマンはアメリカに近づき経済的な協力を求め、フォードとかアメリカ資本の企業も続々とドイツにやってきたのですね。要するにドイツの経済的混乱をアメリカに助けてもらったのですね。

しかし、1929年世界大恐慌で、政治は大混乱。アメリカの経済に頼っていたドイツはがた落ち。アメリカ資本がどんどんドイツから引き揚げ。そのため失業者も激増。また、ワイマール共和国が定めていた失業手当も国の財政を圧迫。税制も減ってしまったので、失業者達に払うことも困難。打開策を打ち出せないまま、ときは流れ、国民は強い指導者を求めたのです。

４　ワイマール憲法の欠陥
ワイマール共和国において、柱になったのがワイマール憲法です。ですが、憲法ができるまで結構大変だったのです。憲法草案は全部で5回も審議されたといいますから、結構もめたのかなって。

7月31日、本会議において最終的な採決が行われ、賛成262票、反対75票、棄権1票で可決成立したといいます。。しかし、83人の議員が採決を欠席したといいます。一人や二人ならともかく、８３人も欠席したとはでかいですね。手続きに問題はないものの国民の総意とは言い難い採決でした。

憲法公布には、右派はもちろん、共産党などの左翼からも反対意見がでました。それどころか、賛成したものまでが、この憲法にある重大な欠陥を懸念したといいます。ある者は、中央集権的な性格が弱すぎると、また、ある者は各州の独立性が不十分である、つまり地方分権を進めろと。

特に、多くの議員が審議の段階で懸念を示したのが、ワイマール憲法第48条（いわゆる、緊急事態条項の1つ）でした。これは混乱を鎮めるために武力行使を含め国民の自由も制限できるというもの。しかも、大統領権限が強大過ぎて、民主主義を脅かすかもしれないと議員も心配したのですが、この懸念はヒトラー誕生という形で的中するのですね・・・

このように賛成派でも、このような懸念が出てくるくらいだから、よほどワイマール憲法は欠陥があったのだなって。

議員が懸念を示しながらも、ワイマール憲法は１９１９年８月に公布されました。たしかに、ワイマール憲法は欠陥がありました。実際、ヒトラー率いるナチスはワイマール憲法下の選挙で国民から多数の支持を受け、ヒトラーはワイマール憲法第４８条を根拠に独裁政治を行ったのです。条文には男女平等とか言論の自由とか、労働者の権利保障、団結権、生存権まで認められたのです。いろいろ欠陥はあったものの、その民主的な内容は画期的であり、戦後の様々な国家にも影響を与えたといいます。



※　この記事は「映像の世紀」を参考にして書きました。




ジブリアニメの「火垂るの墓」。昔はよく再放送されたけれど、最近はあんまり放送されなくなりました。あのアニメかわいそうだから見ていられないんですよね。だから、再放送しなくなってよかったと思う反面、戦争の悲惨さをリアルに伝えてくれるアニメだから、やっぱり再放送をしてほしいなって気持ちもあります。さて、このアニメでたびたび出てくる意見が主人公の清太がクズで、西宮のおばさんのほうが正しいって。子供のころは清太に同情したけれど、大人になってみてみると西宮のおばさんのほうが正しいって。僕はその意見に多少は同調します。しかし、ほとんど納得いきません。

西宮のおばさんの家に居候でありながら、お国のために協力しないで遊んでいる清太を叱るおばさんの意見ももっともといえばもっとも。あの時代は配給制で食料もままならない時代。自分の家族だけでも養うのが精いっぱいなのに、それで親戚とはいえ他人が家に上がり込んできたのだから、せめてそのくらいはしろよって言いたくなる。

けれど、清太の立場に立つと、彼もかわいそうなんですよね。まだ中学生くらいの年齢で分別もあるわけじゃないし、まして戦争で両親をいっぺんに失ったのだから、精神的におかしくなりますよ。両親をいっぺんに失った悲しみは相当だと思います。もし、清太の両親が健在だったら、案外、清太はふつうの軍国少年で、お国のための戦争協力を子供なりにしたと思います。アニメでは嬉々として「軍艦行進曲」を歌っていたし、軍人である父を誇りに思っていた。もし、清太が大きければ軍人に志願していたと思う。


また西宮のおばさんも、戦時中ではなく、せめて戦前の日本だったら、清太に対してもう少し優しく接していたかもしれません。余裕がなかったから、清太にきつく接したのであって。人助けって、金銭的にも精神的にも余裕がないとできないと僕は思うんですね。おばさんの言い方も悪いけれど、余裕がなかったのかな。
悪いのは清太でもなく西宮のおばさんでもなく、あの時代に無茶な戦争を起こした軍部と財閥、そしてそれをあおったマスコミ。そして、戦争が終わったとたんに偉い指導者たちはほとんど逃げてしまった。前回の記事で取り上げた佐藤賢了なんて典型でしょう。マスコミもひどいものであれほど戦争をあおっておいて、なんの反省も総括もせずにマッカーサーを神のようにあがめ、民主主義のすばらしさを居丈高いたけだかに説きました。

政府は政府であれほど国民を戦争に巻き込みながら、終戦とともに態度を変え、東久邇総理なんて「一億総懺悔」なんて言う有様。まるで嫌なら抵抗すれば良かったのに嬉々として戦争協力したお前らが悪いという言い草。はっきりいえば、西宮のおばさんみたいに戦争協力したやつらはバカだと総理大臣が言っているようなもの。 ひどいですよね。石橋湛山も厳しく東久邇総理の一億総懺悔を批判しました。また、一生懸命戦争協力したのに一億総懺悔と言われて、憤慨し、それから二度とお上の言う事を信じなくなった人、僕は何人も知っている。 そして、清太は西宮のおばさんと別れ、結果的に妹の節子を死なせてしまった。たった一人の妹を守ってあげなかった清太はクズだという意見もあるでしょう。けれど、こういう意見もあります↓






「火垂るの墓」は外国の人も見ております。外国の人から見たら「清太が大人になるまで待ってくれなかったのが戦争だろ」って。だから、悪いのは戦争であって清太は何も悪くないって。最後に「火垂るの墓」の監督をつとめた高畑勲の言葉を引用します。




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自民党の総裁選選びが始まっておりますね。僕は誰がなっても正直同じだなって気もするのですが、とりあえず、簡保やゆうちょ銀行はともかく、郵便事業を再国営化してくださる候補者なら、だれでもいいかなってｗその中で高市早苗が「戦争になったら最後の一兵まで戦うことになる」と発言した模様。これには僕も聞き捨てならない話で。戦争になって、こちらの情勢が不利になったら早期に降伏したり、いざとなったら逃げることも手だと思うのです。

『孫子』の兵法に「孫子三十六計逃げるにしかず」とあります。逃げることも大事なのですね。『法華経』にもあるのですね。常不軽菩薩ジョウフキョウボサツが、人さえ見れば「私はあなたを軽んじません。あなたには仏性があります」と言って拝んだそうです。しかし、一般の人にはその意味がわからず、それどころか「馬鹿にしやがって」って怒って常不軽菩薩に石を投げたり、棒を振り上げ襲いかかろうとしたのですね。すると常不軽菩薩は走って、その場から逃げたのですね。身の危険を感じたから。しかし、常不軽菩薩は、遠くの方から、自分を襲った人たちを拝んだとか。菩薩様でさえ、身の危険を感じたら逃げるのです。

戦国時代、多くの戦国武将たちもいざとなったら逃げることも大事だってこともわかっておりました。たとえば、織田信長も、浅井長政と朝倉義景に挟み撃ちになった時に撤退したといいますから。

戦時中、高市早苗と同じことを言っていた人間も多くいましたが、佐藤賢了もその一人。元軍人で戦後はA級戦犯になりましたが、無事釈放。かれは戦時中、サイパン島の人たちに「女、子供たちも最後の一人まで戦え」といっていたのですが、なんと１９７５年まで自分は、のうのうと生きていたのですね。戦後は、東急管財（現・東急ファシリティサービス）社長を務めたとか。憎まれっ子世にはばかるとはこういうことなんでしょうね。まじめでいい人ほど馬鹿を見るというか。




（バンザイクリフ。この絶壁からなんと１０００人以上もの日本人が身を投げたと。のちに今の上皇様と美智子様もサイパン島に訪れ、黙とうをささげられた）

そのサイパン島では女、子供までが絶壁から海に身を投げ集団自決をしたんですね。佐藤賢了らのお偉いさんの命令に従って。そんな悲劇があったのです。

日本の領地だったサイパン島も今じゃほとんど日本人は住んでおらず、全人口のたった２パーセント。今住んでいるのは先住系チャモロ住民とカロライナ系住民が多く、それと中国人も結構いるそうです。なんと全人口の１９パーセントを占めるとか。いまサイパンはアメリカの自治領であり、中国から結構離れているのにね。もし、いま日本が戦争になって右派の言う通り、日本人の最後まで戦ったら、きっと日本本土は外国人、具体的に言えば中国人とかクルド人とかが押し寄せて、中国人とかクルド人ばっかりの国になりますよ。



1938年（昭和13年）3月3日のひな祭りの日に、佐藤賢了は、いわゆる“黙れ事件”を起こしました。この日、国家総動員法を成立させるか否かでもめていたのですね。佐藤は軍務課国内班長として衆議院の国家総動員法委員会において陸軍省の説明員として出席しました。国会審議で佐藤が法案を説明し、法案の精神、自身の信念などを長い時間をかけて演説したのですが、議員さんたちより「やめさせろ」「討論ではない」などの野次が飛んだのです。つまり、当時の議員さんたちは国家総動員法に反対したんですよ。これを佐藤は「黙れ!」と一喝。政府側説明員に過ぎない人物の国会議員に対する発言として大変問題になりました。当時、ＳＮＳがあったらネトウヨは佐藤を支持したでしょうね。


そして、1941年（昭和16年）3月1日、陸軍省軍務局軍務課長に就任しました。東條英機の側近として知られ、世間では「三奸四愚」と呼ばれた側近のうち四愚の一人とされるほど（※１）、佐藤は評判が悪かったのですね。戦後はA級戦犯になったものの、無事釈放。

そうして、戦時中は鬼畜米英だったものも戦後はコロッと親米派に変わった人が多い中で、佐藤は終戦後も、反米感情を貫いたのですね。そのせいか、「私の有罪の決め手となったのはね、平時他国の領土に軍隊を置くということは犯罪的だという。どうです いったい。アメリカはその当時から今日に至るまで、世界各国に防共のために軍隊を置き、軍事基地を設けてるじゃありませんか。東京裁判の正体っていうのはこんなものなんですよ」と戦後のインタビューで語っていたほど。

また驚くべきことに、佐藤は反米感情の強さのあまり、ベトナム戦争反対運動に参加したんですよ。いわゆるべ平連です。こりゃネトウヨ怒っちゃいますねｗ

「共産党は無理だが、社会党の公聴会に呼んでくれないものか」と語って社会党との共闘を呼び掛けたといいます。こりゃ親米ポチから見たら売国奴もよいところでしょうｗだから、佐藤賢了は当時の佐藤栄作内閣というか自民党の方針に批判的だったと思います。

さらに、1965年8月、ベ平連の討論集会に講師として出席した佐藤は、アメリカを糾弾する演説で会場の拍手を浴びたといいます。極右と左翼って反米という面では意見が一致しておりますから。とはいえ、かつては多くの国民を危険な戦争に巻き込んだ人間の一人を左巻きの人がもろ手を挙げて歓迎する姿は滑稽でしかありません。そういや、最近も赤旗に自民党の大物がでてきて、安倍元総理のこととか批判していたこともあったっけ。極右も極右だけど、左巻きの人たちって、自分の政敵を陥れるためなら、かつての敵とも簡単に組むんだなって。


アメリカが強気なのは「中ソ対立のすきをねらってのことと思われる」として、なんと、佐藤は共産党代表の上田耕一郎に「中ソの対立をやめさすように、日本の共産党は、努力なさいませんか」と呼びかけたといいます。反米のためなら、左との協調もいとわない。ある意味、筋を通している人、逆に言えば、結構危なっかしい人。というか、ずるい人。

そして、佐藤は日本の植民地支配に関してはとても熱心だったようで、死の直前まで面談者には大東亜戦争（太平洋戦争）は聖戦だったと主張していたといいます。


佐藤賢了の生きざまを見るにつけ、「金田一少年の事件簿」のセリフが思い出されます

彼ら（日本軍の若い兵隊たち）は、お国のためと信じて戦ってきたが、戦争に負けたとたんに罪人扱いされ、ずるいお偉い方はみんな逃げてしまった。命をかけて守ろうとしたものに裏切られ、彼らの屈辱と絶望感は底知れぬものだろう









※１　残りの3人は木村兵太郎、真田穣一郎、赤松貞雄

１　実は滅亡していなかった加藤家
加藤家は徳川家光の代にほろんだイメージがあったのですが、子孫は残ったのですね。 加藤清正の子孫は今も日本各地に生き残っており、特に山形県に多いようです。末裔の方が酒蔵をやってらっしゃるとか。なぜ？山形県？熊本県や清正の出生の地、愛知県ならわかるが。それはのちのちお話します。

２　加藤忠広
　加藤清正の死後、清正の次男の加藤忠広が継いだのですが、清正が亡くなって間もなくして家臣たちが清正の亡骸を火葬するか、しないかでもめたのですね。つまらない理由でもめるなよって言いたいのですが、要するに清正の家臣団も一枚岩ではなく、派閥があったのですが、清正が生きているうちは表面化せず、死後になって噴出したのでしょうね。結局、火葬問題は加藤清正の妻である正応院の意向で火葬になりましたが。でも、そうした加藤家のゴタゴタを幕府が見逃すはずはありません。もともと、清正は豊臣側。徳川家にとっては目の上のたんこぶ。なんとか理由をつけてつぶしたい。しかも加藤忠広は徳川家光の弟の徳川忠長と親しい関係だったのです。実は家光と忠長は関係が非常に悪かったのですね。のちに家光も忠長を自害の追いやるのですが。そうしたことも家光にとって加藤忠広の存在は許しがたかったのでしょうね。

しかも、加藤忠広は領民からの評判もよくなくて、領民から年貢も不当に巻き上げていたといいます。

そして、加藤家は謀反の疑いで、おとりつぶしになったのです。加藤忠広は領土を失ったものの、出羽国を治める酒井家にお預けになります。忠広は出羽国の丸岡（山形県鶴岡市丸岡）に引っ越して、その後亡くなるまでの22年間も過ごしたといいます。

その酒井家の知遇を受け、謹慎の身でありながら、割と裕福な人生を送ったといいます。和歌や水遊びを楽しむ毎日だったとか。酒井家は、徳川の重臣でありながら、加藤忠広の境遇に同情して、かばってくれたのですね。苦労に苦労を重ねた父の清正と比べたら、幸せな人生だったんじゃないでしょうか。

それに、加藤清正の娘のあま姫が紀州徳川家の徳川頼宜に嫁いでおります。幕府としたら本来なら加藤家の血を根絶やしにしたいところですが、加藤忠広が謹慎処分で済んだのもそうした事情もあったのかもしれません。

また、鶴岡市丸岡には加藤清正をまつる神社もあるとききます。鶴岡に行く機会があれば行ってみたいです。

３　　加藤清正の子孫
　その後、加藤忠広は子孫をのこしますが、いったん断絶したそうですね。その後、養子をもらったりして生き残り、江戸時代には加藤家は庄屋さんをやっていたとか。明治になると明治天皇の東北巡行の際、地元を代表する豪農として天皇の訪問を受けるほどだったといいます。そして、加藤家は加藤セチという女性の科学者を輩出します。

セチは理化学研究所（※１）に研究者として働き、40年にわたって勤め、女性初の主任研究員にまでなったといいます。1931年には京都帝国大学より理学博士号を授与したといいます。そして日本人で3番目（※２）の女性の理学博士、しかも既婚女性としては初だそうです。そんな輝かしい業績をセチは残したのですが家庭運はあまりよくなくて、長男は戦死、セチの兄も地震で亡くなっているのです。娘もいたのですが、娘も嫁にいったので、結局、加藤家の本家は加藤セチの代で終わってしまいます。加藤セチは１９８９年（平成元年）に亡くなったといいます。比較的最近ですね。

しかし、加藤家の分家筋は残ったので、今も山形県は加藤清正の末裔が多いそうです。そして、その親族も全国にいるとのこと。

ちなみに、紀州徳川家に嫁いだ、あま姫ですが、あま姫と夫の徳川頼宜の間には子供がいなかったのですね。だから、清正の血は紀州徳川家に受け継がれておりません。紀州徳川家といえば、８代将軍の徳川吉宗のイメージが強いですが、当然、吉宗には清正の血ははいっておりません。でも、あま姫と頼宜は夫婦仲睦まじかったといいますから、こちらも幸せな人生だったのではないかと。

Kato_Sechi

（加藤セチ）

※　参考サイト



※１　渋沢栄一が作った研究所
※２　保井コノ、黒田チカに続いて加藤チカは３人目。
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