


栃木県の湯西川温泉は、平家の落人伝説が伝わっています。平家の落人達は、ここで源氏の魔の手におびえながら、ひっそりと暮らしていたそうです。湯西川温泉には何度かおとずれたのですが、高速から降りて、湯西川に向かうとちゅう、山道を何分も車で走りました。「こんな深い山里に平家は逃げてきたんだな

源氏に見つからないように、平家の落人達はいくつかのルールを定めました。
1 ニワトリは飼わない(コケコッコーとうるさいから)
2 端午の節句に鯉のぼりをあげない(目立つから)
3 たき火もしない (けむりがでるから)
など
コイノボリをあげないのは理由があります。
なんでも、平清盛(たいらのきよもり)の孫、平忠実((たいらのただざね)は家臣と共に、遠い親せきを頼り、関東へ下りました。その後に栃木県の川治(温泉

それで、さらに山奥へ逃げ延び、行き着いた所が湯西川なのです。それから湯西川の人たちは、端午の節句でも鯉のぼりをあげなくなったそうです。
平忠実の末裔が、湯西川では有名な老舗旅館「伴久」を営んでいるとのこと。調べによりますと、室町時代に伴忠光がこの温泉を再発見し、1549年に六地蔵供養を建立(伴家の墓所)。その六地蔵供養塔は重要文化財にも指定されております。ちなみに伴という字は「平の人」を、敵から身を隠すために変形したそうです。時を経た1666年に伴久旅館(本家伴久)を湯治宿として創業して、それが今も続いているとのこと。
湯西川だけでなく日本中に平家の落人伝説があります。
ただ、コメントをいただきまして、平家落人伝説は信憑性が低いといただきまして、僕も調べさせていただきましたが、創作や脚色された信憑性の薄い伝承や誤伝に基づく話もあることがわかりました。
戦において落人が発生することは珍しくはなく、平家の場合も例外ではないのですが、該当する家系と姻戚関係となった間接的な血筋までも平家の落人を称する場合があり、口伝を基本とする平家の落人伝承が誤伝したり曖昧になりやすい側面もあるそうです。もちろん、平家の落人が存在した事自体は間違いないが、元々が逃亡、潜伏した者であるため、歴史学的に客観的な検証が可能なものは少ないそうです。
ただ、僕自身はそれでも湯西川の平家伝説を全否定はしたくないのですね、心情的に。僕自身も湯西川の雰囲気好きですし、湯西川自体が平家の落人伝説を売り物にしている面もあるのですね・・・・平家落人伝説というのもロマンがあっていいじゃないかって思うから。僕もそういう落人伝説を求めて湯西川に訪れたくらいですから。
もちろん、ロマン、ロマンというけれど、それも考えもので歴史的事実を捻じ曲げてしまうのもどうかなんですよね。明智光秀生存説だって、僕ははっきり言って否定的ですが、それを信じている方も少なくないし、光秀は生きているという方がロマンはありますね。僕自身もロマンを取るか歴史的事実を取るか、毎回ブログを書いててその辺の葛藤はあります。
また、現実的な話をすると、こういった伝説とかいい伝えを観光の売りにしているケースは珍しくないですね・・・
例えば、スコットランドのネス湖のネッシーなのですが、僕は正直ネッシーがいるかどうか疑問です。ただ、ネッシーを見ようと世界中から観光客が集まるそうです。ネス湖への観光客は毎年50万人。そして、その経済効果はなんと年間61億円だそうです。もしネッシーがいないと完全に立証されたら、おそらく観光客は激減すると思います。
参考までに、レジャー・観光サイクリング、ゴルフ、ゲーリックゲームズ(アイルランド島で開催される伝統スポーツ)の経済効果は、サイクリングが1億1600万ポンド(約173億円)、ゴルフが2億8600万ポンド(427億円)、ゲーリックゲームズが1億4900万ポンド(222億円)だそうです。ネス湖の経済効果は、それらに比べると低いかもしれません。が、結構馬鹿にならない金額です。公認会計士の仕事のかたわら、ネッシーの公式目撃事例を記録するゲイリー・キャンベル氏が、「ネッシーが実在しようが、嘘だろうがそんなことは問題ではない」というほど。
お話を湯西川に戻します。僕は子供の時に一度、2012年以降に二度、湯西川に家族と共に訪れたのですが、湯西川は結構山奥にあるのですね。最寄り駅の湯西川温泉駅から、さらにバスで二十分ほどかかります。都心からそんなにアクセスは良くないのですね。栃木には鬼怒川とか有名な温泉地があり、こちらはアクセスも良く、みんなそっちに行ってしまうのです。湯西川温泉の観光客数もピークの半分も下がり、有名な伴久ホテルも倒産してしまった話を聞いた時はずいぶん驚いたものです。(そのホテルは今は伊東園になっております)。湯西川のある料理店に入ったら、観光客は僕の家族以外おらず、お客は、地元のおなじみさん(結構年配の方)という感じでした。こんなことを言っては大変申し訳ないのですが、僕が子供の頃に訪れた時よりもさびれていて、増えるのは一人暮らしの老人ばかりという感じなのです。
(この記事は2012年7月21日に書いたものを2022年1月に加筆したものです)