昨年の紅白の視聴率がワースト2位ということですが、それでも30パーセントの視聴率をたたき出すことがすごいと思います。さきほど、NHKの視聴者の生の声を紹介する「みなさまの声」というサイトをみました。そこには昨年の紅白の感想や意見も書かれておりますが、ここ数年の紅白と比較して反響も大きく、好意的な意見もすごく多かったのです。それまでは厳しい意見のほうが圧倒的に多かったのですが。僕は昨年の紅白はリアルタイムではなく、数日後にNHKのオンデマンドでみました。音楽番組としては素晴らしい内容でした。特に安全地帯と松任谷由実さんがよかった。ちなみにリアルタイムでは「年忘れ にっぽんの歌」をみてました。こちらも素晴らしかった。というか、こちらのほうが年末感があってよかった。

近年の紅白の在り方に関しては賛否両論で、若者をターゲットにするのは間違っていないという意見もあれば、もう少し高齢者が安心して見れる内容にしてほしいという意見もありますが、紅白を楽しみにみている層は確かに、紅白をみて年末気分を味わったり、「ああ、日本っていいなあ」って思える瞬間を味わいたいという人のほうが多いような気がします。昨年は若者向けの歌手がたくさん出たことで、若い人も楽しめたといいますし、中高年の方でも、「若い人ばかりでどうかなとおもっていたけれど、聴いてみて感動した」という意見もあります。

でも、紅白を見て年末気分を味わいたいとか、日本の情感をしみじみ味わいたいとか、層は紅白よりも、テレビ東京でやっている「年忘れ にっぽんの歌」のほうが楽しめると思うし、年末気分を味わえると思う。今の紅白は、良くも悪くも普通の音楽番組になりつつあると思う。音楽番組としてはよい番組だけれど、じゃあ大みそかに特別見たいかといえば、どうかなって。

以前に2ちゃんねるの書き込みに「紅白の視聴者は、小柳ルミ子、由紀さおり、八代亜紀といった日本の情感を歌ってくれる歌手が見たい。そのことにNHKが気づくのが、紅白という番組が終わりに近いか、終わってからか」とありました。たとえば、八代亜紀さんの『舟唄』を聴きながら、しみじみと日本酒を飲む。その瞬間がたまらないと。

とはいえ、紅白はその年のヒット曲を取り上げるのが原則。あんまり懐メロ路線でいくと、それはそれで批判が出るから難しいんですね。演歌や歌謡曲でも、すごいヒットがでてくれば状況が変わるかもしれませんが、いまは厳しいと思います。最近、CSで1980年代の音楽番組、たとえば「ザ・ベストテン」とかを見ているのですが、松田聖子さんとか近藤真彦さんとかポップス系に交じって、小林幸子さんとか五木ひろしさんとか普通にご出演されているのですね。昔はポップスだけでなく演歌や歌謡曲もよく売れましたからね。だから昭和の紅白は演歌歌手もポップス歌手も普通に選出されたのです。もし、今年、演歌で大ヒットが出たら演歌歌手も出てくると思う。逆に大ヒットがあるにも関わらず演歌を出さないとしたら、それはNHKが演歌を本当に毛嫌いしているんだなってことになりますね。

ただ、紅白において演歌歌手の扱いが悪いのは気になりました。けん玉をやらせたり、へんなアトラクションをやったり、持ち歌ではなくカヴァー曲を歌わせたり。その辺は改善してほしいなって。