今日はパラオのお話をします。パラオの話は以前にも取り上げました。パラオの国旗は日本の日の丸に似ているけれど、別に日本の国旗をモデルにしたわけじゃないというお話でした。さて、そのパラオにまつわるクイズをだします。

「Bantosang Tsukarenaosu」

これはパラオ語なのですが、日本語がもとになっております。読み方は「バントウサン、ツカレナオス」と読みます。以下の4つからお選びください。



  1. 番頭が疲れている

  2. 番頭さん、お風呂に入ろう

  3. マスター、ビールを飲みたい

  4. 板東さん、つかえ治す






正解は3番です。「ツカレナオス」は「ビールを飲む」、「バントウサン」は「バーテンダーやレジ係、店員」さんのことです。

このように日本語からパラオ語になった言葉がいくつもあるのですね。たとえば、「テッポウ」(鉄砲)、「コイビト」(恋人)、「ドクリツ」(独立)、「レキシ」(歴史)、「サミシイ」(さみしい)、「デンワ」(電話)、「ダイジョウブ」(だいじょうぶ)など。以前のエントリーでも軽く触れましたが、パラオは親日国です。パラオに限らず親日国では、日本語がそのまま現地の言葉になることがよくあることです。やはり親日国のイランでは橋田寿賀子さんの『おしん』が大ブームになり、「タノコラ」という言葉が生まれたのですね。これは、主人公のおしんの名字である「田倉」(結婚してからの苗字)にちなみ、古着市場や古着という意味です。おしんは、嫁に来てから露天商で服の生地を売ったこともあったので、それにちなんだのでしょうね。

パラオの話に戻しますが、パラオの高齢者は日本語ペラペラです。日本の統治時代、パラオの子供たちはパラオの公学校に通い、日本人の教師から、勉強だけでなく礼儀作法なども教わったのですね。もちろん日本語も習いました。『世界ふしぎ発見!』で公学校に通ったことのある女性の元生徒さんが御出演されました。日本の先生は指導法が厳しいという意見もある一方で、その元生徒さんは「自分は、そう思わない、厳しいことがなければ子供は利口にならない」とまで言い切ったのですね。また、元生徒さんは日本統治時代に歌われた『パラオ小唄』という歌を口ずさんでいました。


♪ 海で暮らすなら パラオ島におじゃれ 北はマリアナ 南はポナベ 浜の夜風にやしの葉ゆれて
  若いダイバーの舟唄もれる ♪



パラオは激戦地で町も爆弾でメチャクチャに壊され、犠牲者も出たので、元生徒さんは戦争はダメという一方で、日本の統治時代を懐かしむようでした。統治時代というと聞こえは悪いですが、当時の日本はパラオに病院を作ったり、インフラを整えたりしていたのですね。


パラオと日本のつながりといえば、クニオ・ナカムラ大統領。パラオ独立に導いた人物です。ナカムラ大統領は日本人の父とパラオ人の母の間で生まれました。ナカムラ氏が大統領だった頃の、大統領官邸の執務室には日本の伝統工芸品や人形が飾られていたといいます。彼の親日ぶりがうかがえます。ナカムラ大統領は、「私にとって日本は親愛な国なのです。もし、パラオ以外の国をえらぶとしたら、”日本”です。私の父は純粋な日本人であり、私の身体にも日本人の血が流れています。それは誰にも変えることができません。私はそのように生まれたことを幸せに思っています・・・」


もう一つ、パラオと日本のつながりと言えば、KBブリッジ。これはバベルダオブ島とコロール島を渡す橋で、その幅250メートルの海峡で隔てられているのです。この二つの島を行き来するには船で渡るしかないのですが、昭和52年(1977)に両島を結ぶKBブリッジが建設されたのですね。この建設にかかわったのが韓国のSOCIO社でした。が、次第に橋が痛みだし、平成8年(1996)9月26日に轟音と共に橋が中央部から真っ二つに折れて橋が崩れてしまい、橋を渡っていた2名が死亡、4名以上が負傷したといいます。悪いことに橋はコロール島からパラオ国際空港(後にロマン・トメトゥチェル国際空港に改名)へと向かう唯一の道路であり、またバベルダオブ島からコロールへ供給されていた、電気・水道・電話のライフラインが通っていたため、首都機能がマヒし、時の大統領クニオ・ナカムラ氏が国家非常事態宣言を発令したほど。「暗黒の9月事件 (Black September)」とも呼ばれているそうです。

しかし、橋を新たに建設する余裕はパラオにありません。それが日本の無償援助によって新たな橋を架けることが決定。鹿島建設がこの事業を担い平成14年(2002年)に新たなKBブリッジができたのです。この新KBブリッジは「日本・パラオ友好の橋」とも呼ばれております。この橋とパラオと日本両国の国旗は、2012年1月にパラオ郵便局より発売された建設10周年を祝う記念切手にも描かれたといいます。

Japan_Palau_Friendship_Bridge

(KBブリッジ)


(地図の左下の島がコロール島。右上の島がバベルダオブ島。その間をつないでいる橋がKBブリッジ)

* おまけ
クニオ・ナカムラ大統領は友好のあかしとしてカヌーを寄贈。そのカヌーは三重県立水産高等学校にて実習用の船として活用されております。



※この記事は、『世界ふしぎ発見!』を参考にして書きました。また、こちらの本も参考にしました。また、ぱらおのことは以前にもとりあげましたので、併せてこちらのエントリー↓もどうぞ。
http://ehatov1896rekishi.blog.jp/archives/2238925.html



「美しい日本」パラオ (産経NF文庫)
井上 和彦
潮書房光人新社
2021-05-25