海賊といえば「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ONE PIECE」を連想される方もいらっしゃるかもしれません。ディズニーランドにも「カリブの海賊」というアトラクションがありますね。僕も子供の頃に2回行ったことがあります。水上ライドに乗り、序盤で急流滑りにあって、そこからカリブの海賊たちが暴れている様子をじっくり楽しめるアトラクションですね。あれから25年以上訪れていないのですが、最近の「カリブの海賊」にはジャック・スパロウが登場するようですね。機会があれば、また訪れてみたいものです。

映画やアニメ等に出てくる海賊というと、素行は荒いけれど義理人情に厚いイメージとか、ジャック・スパロウのイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それはあくまでも創作の中の話。リアルの海賊はそうでもなく、もっと残酷なんですね。

例えば、捕虜になった人を的にして海賊たちが射撃の練習をしたり、ひどい話になると、捕虜の頭を縄で縛り、棒を差し込み、ねじるとうい拷問をすることもあるのですね。海賊は生きることが全て。残忍であれば、残忍であるほど、良いみたいな雰囲気だったようです。

海賊と言いましても、海賊は古今東西いつの時代、どこにでも存在し、8世紀にはヴァイキングと呼ばれる海賊が北欧を中心に暴れまわり、日本でも村上水軍とか河野水軍とかが有名です。でも海賊と言ったらカリブの海賊のイメージが浮かびますね。カリブの海賊は17世紀に全盛期を迎えます。


カリブの海賊が生まれた背景は、1492年のコロンブスによる新大陸発見にさかのぼります。それ以降、カリブ海はスペインが支配していたのです。そして、カリブ海の島々でサトウキビ栽培が始まったのですね。サトウキビから砂糖をとって大儲けをしていたのですね。いわゆるプランテーションの始まりです。プランテーションとは、熱帯、亜熱帯地域の広大な農地に大量の資本を投入し、国際的に取引価値の高い単一作物、例えばコーヒーとかサトウキビとかを大量に栽培する(モノカルチャー)大規模農園またはその手法のことです。

大規模農園でサトウキビを栽培するということは人手が入ります。しかしきつい仕事のため、なかなか人手が集まりません。それで、インディオの奴隷労働や白人年季奉公人、のちの時代にあると黒人奴隷などを労働力としていたのですね。インディオや黒人はともかく、白人年季奉公人とは聞きなれない言葉ですね。年季奉公人は植民地の地主に雇われた白人奴隷のこと。本国で多額の借金を抱えた貧民、失業者、はたまた犯罪者がカリブ海に送り込まれ、安い賃金でこき使われていたのですね。あまりに過酷な労働環境だったため、逃げ出す年季奉公人も少なくなかったのですね。そうした年季奉公人が生きるために始めたのが、海賊なのです。

例えば、ヘンリー・モーガンという海賊は年季奉公人から海賊になり、さらには貴族になったというすごい人物がいました。モーガンは海賊になってから、略奪したお金を散財せずに、節約し、貯金しました。そうして財をためて、ジャマイカで農園を買ったのです。さらにジャマイカ総督の一族の娘と結婚をし、やがてイギリス本国で認められ、ナイトの位を国王から授かったのですね。海賊からナイトになったのだから、すごいというか世も末というか。モーガンは私掠免許までもらったのです。これは敵国の船であれば略奪や殺人をしても罪に問われないという国家公認の免許で、なんとも恐ろしいものです。当時のイギリスはスペインと対立していたので、スペインに勝つためには綺麗事を言ってられぬということでしょう。ヨーロッパ諸国は足りない軍事力を補うために、海賊の力を借りていたのです。民間の船や海賊に私掠免許を乱発していたと言います。特にスペインとイギリスは対立が酷く、イギリスは海賊たちをある意味利用していたのですね。一方の海賊たちも国からお墨付きを頂いたのだから、やりたい放題で略奪を行ったのですね。

ところで、私掠船というのも国家公認の海賊といえば聞こえが良いですが、末端の乗組員にとってはひどいものでした。私掠船が略奪した金銀財宝の10%を政府に差し出さなくてはなりません。残りの90%を船主、船長、乗組員で分かち合うのですが、その分前は船主と船長が30%ずつ、残りの30パーセントが則組員のものです。乗組員の分前が30%ということは、極端な話、乗組員が3人であれば、一人当たり10%ずつ分けることができるのです。ところが30人もいると分前は1人あたり1%だけ。乗組員が30人もいれば、船長と乗組員の格差がうんと広がるのです。30人以上になると、もっと乗組員の分前が減ってしまうのです

そんな私掠船も一旦下火になります。1692年にスペインとイギリスが和平を結んだのです。すると、それまで発行してきた私掠免許も取り消しになり、イギリスもスペインも海賊を取り締まるようになったのです。そうかと思ったら、今度は1702年にイギリスとスペインの継承戦争が始まり、再びイギリスは私掠免許を乱発。またしても海賊の活動が活性化したのですね。それが1713年にイギリスとスペインの継承戦争が終結。またしても私掠免許が無効。私掠船の取り締まりも強化。多くの私掠船の乗組員たちも生活に困ってしまうのですね。さらに悪いことに強欲な船主たちが私掠船の船乗りたちの略奪品の分前をもっとよこせとさらに要求。末端の船乗りたちは益々生活に困ってしまいます。

国に振り回される海賊たち。そんな海賊の中でも、俺たちの自治区を作り出そうという海賊も出てきます。その辺のお話はまた次回。

※この記事は「ダークサイドミステリー」を参考にして書きました。