1 静かになった電車 騒がしくなった街
 近年、暴行事件が芸能界でもスポーツ界でも話題になりますね。昭和や平成の初期なら特に問題にならなかったことが、今問題になっているのですね。会社でもパワハラやセクハラが問題視されていますが、それまでの昭和のやり方が現代社会に合わなくなっているのでしょう。昭和は良くも悪くも、ゆるい時代でした。それがいい面でもあり、悪い面でもあったのですが。

ここ20年で変わったといえば、通勤電車。20年くらい前は、電車の中で怒鳴り声をたびたび聞いたり、喧嘩ケンカの光景もよく見かけました。前にどこかのリーマンがカバンで相手を思いっきりひっぱだいている光景を見かけ僕もびっくりしましたっけ。ケンカの原因は、新聞があたったと言うのは序の口で、ひどい時は目があっただけで喧嘩なんてこともありました。ひどい時は一週間に一回はケンカの光景を見かける有様。ケンカが原因で電車が止まることもしばしばでした。今はコロナ禍なのでしょうが以前ほど喧嘩を見かけません。

とはいえ、そういうケンカがなくなったわけじゃないのです。この間、バスに乗っていたら、外から怒鳴り声が聞こえたのですね。窓から覗いていたら、道で60代後半くらいのおじさんが、すれ違い様に怒鳴り合っているのですね。おそらく、「邪魔だ、どけ!」って感じでしょう。あと、駅でも60歳くらいのおじさんが高校生に怒鳴っていました。何が原因か全く不明。その光景を、ベンチに座っていた80歳くらいの女性2人が「最近、お年寄りが怒りっぽくなりましたね」って呆れてました。若い人よりいまは中高年の方がお元気みたいです。

2 乱闘が無くなった
 変わったといえば野球の世界も変わりましたね。昔は乱闘ラントウがよくあったけれど、最近はほとんど見かけません。今じゃ自チームだけでなく、敵のチームの選手とも仲がよくsnsで交流をするような時代ですからね。そんな和気あいあいとした雰囲気ふんいきじゃ、そりゃあ中田翔選手は浮いちゃいますね。時代の流れですね。

でも、昔は中田選手みたいな人、そんなに珍しいタイプではなかった。今より血の気が多い選手が多く、武勇伝も数多くあり良くも悪くも面白い時代でした。

星野仙一さんなんて典型でした。選手の顔が変わるくらい殴ったとか。今なら大騒ぎになりますね。あと、乱闘といえば、星野さん。一期目の中日監督時代(1987〜1991)の動画を見て、驚きましたよ。星野さんがマジでこわいのw星野さんが怖いのは前から知っていたけれど、まさかこれほどとは。画面でも伝わってきますもの。星野さんがイライラしていて、椅子イスをトントン叩いている。それで選手はおろか、コーチさえ「触らぬ神にタタリなし」みたいな感じで星野さんに近づかず、目線すら合わせない。普通、誰かしらコーチが監督のとなりにいるものなのですが。

唯一、落合博満さんだけが星野さんのとなりに座るのです。とは言っても落合さんは星野さんと一切会話をしない。これは、落合さんが星野さんをしたってっているとうより、選手たちが不要に怒られないように自らがたてになっていたのですね。星野さんは、怒っても大丈夫そうなタフな人しか叱らなかったと言いますが、僕が中日の選手だったら、あのピリピリした雰囲気だけでめまいがします。

3 荒くれ者を抑えるには
逆にいえば、そのくらいやらないとチームがまとまらなかったのかもしれない。中日は昔から野武士集団と言われ、荒くれ者が多かったのですね。

例えば、一塁から走塁をしようチョロチョロとしているチームメイトに目がけバットを投げつける選手も、かつて中日にいました。要するに、自分のバッティングに集中できないから走塁でチョロチョロするなと。今だったらSNSで叩かれますね。

80年代の中日にもベンチに乱闘要員がひかえていて、乱闘になると真っ先に飛び出すの。今、そんな人いませんよね。というか今時のおとなしい監督さんじゃ舐められてしまいますね。

荒くれ者を抑えるには、同じくらいの荒くれ者を重しにすると良いと言います。星野さんだからこそ、まとめられたのでしょう。

もっとも昔は中日に限らず荒くれ者が多かったし、監督は星野さんに限らず厳しい監督が多く鉄拳制裁テッケンセイサイが当たり前の時代だったのですが。

その星野さんが楽天に来た時にはすっかり好々爺コウコウヤになっていて、「今の選手はあんまり怒ると落ち込む。時代に合わせないとな」なんておっしゃっていた時は我が耳を疑いましたね。もちろん、楽天時代の星野さんはモノに当たっていたと言いますし、厳しい監督だったことは確かなのですが。それでも、中日時代(初期)と比べるとコーチも星野さんと会話していたし、中日時代よりずっと近寄りやすい雰囲気。人間って変わるものだなって。驚きました。というか、選手の質が変わったのも多々あるのでは。

4 よくもわるくも昔は元気だった
 実は僕はボランティアをやっていて、結構色々な年齢の人とご一緒するのですが、60歳くらいの男性が自分が高校の時、よその高校まで集団でなぐり込みに行ったという武勇伝ブユウデンを語られていました。

武勇伝といえば、僕の母校もそんな話がありました。僕の時代にも不良はいたけれど、よその学校まで集団で殴り込みに行ったなんて話はありませんでした。でも、僕の10歳くらい先輩の代だと、他校との喧嘩は当たり前だったと言います。さらに、後輩は朝早くに学校に来て、最寄駅モヨリエキから校門までずらっと並んで、先輩たちを「押忍オス!」って出迎えたなんて話もあったとか。まさにリアル男塾。そんな時代があったんだって、びっくりしましたよ。

それから僕より10歳後輩たちの情報もネットで知ったのですが、すっかりおとなしくなって、へたすりゃ引きこもりの一歩手前の生徒も珍しくないと。僕の時代にもそんな子はクラスに1人か2人くらいだったのに。同じ学校なのに、こんなに生徒の質も変わるのだなって。世代の違いってあるのだなって。

喧嘩もそうですが、学生運動や労働争議もすごかったですね。学生運動の動画も見せてもらったのですが、本当に日本かよって思いましたもの。学生が火炎瓶カエンビンを持って暴れているのですよ。青春時代に学生運動やら喧嘩やらやっていた人からしたら、今の若い子を見るとて歯痒はがゆくて仕方がないだろうなって。逆に今の若い子からしたら、そういう大人がけむたいだろうなって。

ジェネレーションギャップを埋めるのはなかなか難しいようで。