きょうは長野県の民謡「木曽節」。僕の祖母が民謡がすきだったので、この歌は子供のころから知っていました。というか結構有名な民謡なので一度は聴いたことがあるという方もいらっしゃるのではないかと。「♪木曽のな〜、なかのりさん」というフレーズではじまりますが、この「なかのりさん」は何だろうなって疑問に思われます。いろいろ諸説があるそうですが、木曽川で木材を運搬するとき、イカダに3人で乗って、その3人のうちの真ん中に乗った人のことを「中乗り」と呼んだらしいです。船乗り先頭を「舳乗り」(へのり)、後ろを「艫乗り」(とものり)といったそうです。ほかには馬のくらの中央に乗った人を「真ん中に乗る」という意味で「中乗り」といったとか、死者や神のお告げを信者に伝える「中座なかざ」と呼ばれたシャーマンのことを「中乗り」といった説もあるそうです。

ちなみに、「木曽節」は意外と古い歌で、室町時代にも「木曽おどり」の名で登場し、すでに京の都でも知られていたのです。木曽節は、伊勢をはじめ全国各地から来た杣人すまびと(※1)や、木曽川をつかって材木を運ぶ日雇いびとによって即興的に歌われました。大正時代には、伊東淳(いとうすなお)町長が全国的な普及活動をおこない有名になりました。

木曽は僕も何度か行ったところがありますがよいところですよ。自然も豊富だし、奈良井宿(ならいじゅく)とか妻籠宿(つまごじゅく)、馬籠宿(まごめじゅく)といった宿場町があります。江戸の宿場町の風情も今も残していていいところです。




※1  杣木を切ったり運び出したりする人、きこり。杣木とは、 古代・中世の日本で国家・権門(特権階級)が所有した山林のこと。

※ 参考文献