history日誌

へっぽこ歴史好き男子が、日本史、世界史を中心にいろいろ語ります。コミュ障かつメンタル強くないので、お手柔らかにお願いいたします。一応歴史検定二級持ってます(日本史)

シャイニング (字幕版)
シェリー・デュバール
2014-02-24



シャイニング(上) (文春文庫)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2015-04-17



1 シャイニング
「シャイニング」って映画ご存じでしょうか?キューブリック監督の作品で1980年に発表。ジャックニコルソンが出演で、コロラド州の山中にあるオーバールック・ホテルというホテルが舞台。冬の間だけ、アル中気味の小説家とその一家が管理人として、そこに寝泊まりするのですが、小説家がホテルに居ついてた悪霊にとりつかれ、自分の家族を殺そうとするというプロットです。最初は家族思いの優しいパパが次第に豹変し、悪霊にそそのかされ殺人鬼に変わっていく様子が怖いんですよ。「RED RAM」というフレーズが出てきますが、これは英語の「MARDER」(殺人者)をひっくり返したもので、「金田一少年の事件簿」にも出てきます。



その小説家をジャックニコルソンが演じられているのですが、一言でいえばすごいの一言。鬼気迫る演技で、身の毛がよだつほどの殺人犯を見事に演じられておりました。ジャックニコルソンの演技力は非常に定評があって、僕は彼が出演している映画はたいていみておりますが、「シャイニング」におけるジャックの演技は本当に印象に残っております。ジャック演じる小説家の「おこんばんわ」と言って家族を襲うシーンが特に印象的でした。

「おこんばんわ」の元ネタは、あくまで日本のコメディアンのトニー谷のセリフで、映画では「Here's Jonney」って言っておりますね。この「Here's Jonney」にも元ネタがあって、アメリカの長寿番組「Tonight Show」の司会ジョニー・カーソンが登場するときに使われていたお決まりフレーズだそうです。同じコメディアンの決め台詞ということで、映画の翻訳者の方は「おこんばんわ」というセリフをチョイスしたのかなって。

この映画の原作者は、スティーブン・キング。彼はホラーものやサスペンスものを多数書いていて、彼の作品は、「キャリー」だとか「ミザリー」だとか結構映画化されております。かといってサスペンスやホラーものばかりではなく「グリーンマイル」のようなヒューマンドラマや、「スタンドバイミー」のような青春ものも書いてます。「スタンドバイミー」を初めてみたのは僕が中学の頃ですが、その頃は原作者が誰だか知りませんでした。僕が大人になって、スティーブン・キングが原作だと知ってずいぶん驚いたものです。もっとも、「スタンドバイミー」に出てくる少年たちは、死体を探しに冒険をするというプロットですから、ある意味、キングらしいなって。

ちなみに、キングはキューブリック版の「シャイニング」が大嫌いです。「私の小説は熱いが、映画は冷たい。」って批判してました。原作では小説家の息子ダニーという少年が主人公で、「シャイニング」と言われる特殊な超能力を使うという設定。父である小説家は、悪霊にとりつかれながらも、最後まで父としての良心が残っているというもの。映画版ではジャック演じる小説家が主人公で、完全に悪霊にとりつかれてしまっている。それにキューブリック版に出てくるダニー少年は、予知能力があるものの、原作ほど超能力を使わない。あまりに映画と原作と違うというのでキングは怒ってテレビドラマを作ったほど。キューブリックの映画、普通に面白いというか、見ごたえあると思うが。

ちなみに「シャイニング」には続編があります。「ドクター・スリープ」という作品で、大人になったダニーが主人公で、ダニーもまた父の短気な性格とアル中気質は受け継いでいて、なぜか、惨劇の起こったあのホテルに戻るというストーリー。「ドクター・スリープ」も映画化されましたが、この映画は原作とキューブリック版「シャイニング」をうまく融合したといわれ、キングもこの映画を大絶賛したとのこと。



(RED RAMが登場する話。この作品でも「シャイニング」が言及されている)

シャイニング 特別版 [DVD]
スティーブン・ウェバー
ワーナー・ホーム・ビデオ
2013-06-26


(ドラマ版のシャイニング)

ドクター・スリープ(吹替版)
レベッカ・ファーガソン
2020-09-07



2 キングが書いたきっかけ

 キングがこの作品を書いたきっかけは、キングが小説を書いている最中に、彼の子供が書き上げた原稿にいたずらをしたようです。それでキングは一瞬だが殺意を覚えたといいます。その時の体験がもとになり「シャイニング」が生まれたと。

僕は小説なんて書いたことがないから知らないが、書いている最中はイライラするようですよ。アイディアもなかなか浮かばないし、かといって自分が書きたいものを自由にかけるかといえば、そうでもなく、せっかく小説を書き上げても編集者の意向に沿わなければボツ、それで売れなければ意味がない。「シャイニング」と同じような話は、日本にもあります。井上ひさしの元の奥さんが暴露本を書いたのですが、彼の奥さん曰く「肋骨と左の鎖骨にひびが入り、鼓膜は破れ、全身打撲。顔はぶよぶよのゴムまりのよう。耳と鼻から血が吹き出て…」という具合にすさまじいDVにあったといいます。ひどい話だなって。それでも直木賞を受賞するまでは、普通にいい人だったのに、受賞して有名になってから彼は変わったといいます。売れて、いい気になったのかな。

僕は井上ひさしといえば温厚なイメージで、彼の小説もヒューマニズムにあふれていただけに非常に驚きましたね。何か芸術的なものを生み出すというのは実は大変なことで、肉体的にも精神的にもまいってしまうんだなって。その生みの苦しみを人によっては誰かにぶつけてしまうと。

一方、僕が尊敬してやまない藤子・F・不二雄は、その苦しみを弟子どころか家族にぶつけなかった、だから自分の身に来てしまい、62歳という短い生涯だったのかなって。





3  インディアンについて


映画では、ホテルのあった場所はもともとはインディアン(※1)の墓地があったところで、建築中もインディアンが襲来したとなっております。そうしたインディアンの呪いがこのホテルに乗り移ったのかなって。それと、悪霊にとりつかれた小説家がバーボンを飲む際、「酒は白人の呪いだ、インディアンはしらん」ってセリフもでてきます。僕も知らなかったのですが、バーボンってトウモロコシ🌽が原料なんですってね。白人がインディアンからトウモロコシ畑を奪い、さらにバーボンを白人は発明したと。そんな血塗られた歴史があったのですね。さらに小説家が家族を殺そうと手に持った武器は斧。🪓斧はインディアンの象徴です。ちなみに、この設定は映画のみで、原作にはない設定です。でも、アメリカにおいて白人はインディアンにひどいことをしましたからね。映画を通してキューブリックはそのことを訴えたかったのかもしれない。


たとえば、1890年におきたウェンデッド・ニーの虐殺事件。それはベンジャミン・ハリソン大統領(※2)の在任中に起こったのです。ハリソン大統領の祖父はウィリアム・H・ハリソンといいましてインディアンと戦った人でアメリカの9代大統領でありました。つまり、ベンジャミン・ハリソンは世襲大統領の走りみたいな人だったのですねえ。

ハリソン大統領の時に、ノースダコタ、サウスダコタ、モンタナ、ワシントンという4つの新たな州がうまれました。いづれも白人たちにとって未開の土地で、これらの土地に次々と白人の入植者がやってきたのです。当然、先住民であるインディアンは土地を奪われ、住み家を破壊されたのです。とくにスー族は多くの居留地に分けられ約4万5000平方キロの土地を失ったのです。

絶望したインディアンたちは、ゴースト・ダンスをはじめました。ダンスを踊れば先祖の霊がよみがえりバッファローの群れももどり白人が消滅すると信じたのです。それを白人たちは不気味に思い、インディアンの反乱の兆しだと考えたのです。軍部は政府に「インディアンが俺たちに反抗しているぜ」って文書を送ったのです。

ハリソン大統領は報告を受け激怒。約5000人の軍隊を現地に派遣。その数、常備軍の4分の1という大規模な数。そして、連隊のリーダーはインディアンたちに踊りを今すぐやめろと要求。そして指揮官は銃殺を命令。悲劇は起こりました。銃声が止まり、大砲の弾がつきるまでに数百人のインディアン老若男女問わず殺されたのですね・・・ハリソン大統領はインディアンの命よりも入植者のほうが大事だったのです。それどころか、ハリソンは虐殺をした白人20人に名誉勲章を与えたというから、あきれた話です。

このインディアン虐殺はあくまでもアメリカにおけるインディアン差別問題の一つにすぎません。長いことインディアンはアメリカ人とみなされず、アメリカの進歩を妨げる存在だとずっと思われてきたのです。実際、西部劇とか映画でもインディアンは悪役として描かれておりますし。






※1 インディアンという言葉は現在では差別用語とされ、ネイティブ・アメリカンと呼びましょうって、現在アメリカで提唱されているが、当のインディアンたちは白人による差別の歴史に蓋をしているだけと反発。
※21889年から1893年まで在任


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(相関図)

ペルセウスは、アンドロメダと結婚したことを祖父であるアクリシオスに報告したくて、妻アンドロメダと母ダナエとともにアルゴスに向かいました。アクリシオスとはアルゴスを治める王様でしたが、ペルセウスが生まれる前、自分が孫に殺されるという神託を受けて、我が娘のダナエと、まだ赤ん坊だったペルセウスを海に流してしまったのです。そのペルセウスがアルゴスを目指しているという情報を耳にした、アクリシオスは絶句します。「ダナエの子が自分を殺しに来る!」って思ったのでしょうね、アクリシオスは。まして、ダナエとペルセウスを海に流したものだから二人は恨んでいるに違いないって思ったことでしょう。ペルセウスを恐れたアクリシオスはテッサリアへと亡命したのですね。

しかし、ペルセウスはそんな恨みの気持ちなど全くなく、本当に純粋な気持ちで祖父に逢いたかったのですね。おじいちゃんを喜ばせてあげようって、ペルセウスはおじいちゃん孝行をしたかったのですね。

アクリシオスは王宮から逃げ出してしまったのです。アルゴスにたどり着いたペルセウス。アクリシオスを訪ねても、王宮にはいなかった。ペルセウスは「どこにいったのかな〜?」って首をひねるばかり。王がいなくなったので、英雄ペルセウスに王になってくれと頼まれます。ペルセウスは「よくわからないけれど、まあいいか」って、ペルセウスはアルゴスの王として即位します。

そんな折、テッサリアで競技大会が行われました。今でいうオリンピックですね。ペルセウスはアルゴス王として、この大会を観覧するどころか、自ら選手として参加したいと申し出たのです。いわば飛び入り参加ですね。神話ではペルセウスは円盤投げのみ参加したといわれておりますが、ペルセウスは徒競走とか格闘技とか色んな競技に参加してほとんどの競技で金メダルをとったのではないかって僕は勝手に思っております。何となくペルセウスってそんなイメージがするから。

そして円盤投げ。観客たちの期待は高まり、会場はペルセウスコール。場外まで飛ばせって観客も。ペルセウスならば、それはたやすいこと。何しろ並外れた身体能力の持ち主ですから。しかし、さすがのペルセウスも観客の期待が大きすぎてプレッシャーにさいなまれます。そして、ペルセウスは円盤をなげました。すると、その軌道は大きく外れ、観客席に向かったのです。焦ったので手元が狂ったのでしょうね。そして観客席にいた老人が円盤にあたって死んだと。それを聞いたペルセウスは凍り付きます。まして、その老人は自分の祖父アクリシオスだったのです。事故とはいえアクリシオスは予言通り孫によって殺されてしまったのですね。

ペルセウスはいたく悲しみ、そして「俺はなんて馬鹿なことをしたんだ!」って後悔の念にさいなまれたのです。ペルセウスは祖父アクリシオスを手厚く葬り、贖罪しょくざいの念から、アルゴス王を自ら降りてしまうのです。そしてペルセウスは、ティーリュンスの王メガペンテース(プロイトスの子)のところに行って国土の交換を行い、ミデア、ティーリンス、ミュケーナイの支配者となったといいます。


また、ペルセウスと言えばこんな伝承もあります。ディオニュソスという酒の神さまがいたのですが、その神様は秘教の伝道者でもあり、多くの信者たちを引き連れて各地をさすらっていたのですね。そんなディオニュソスがアルゴスに来訪すると聞き、ペルセウスはディオニュソスと戦ったのですね。すごいですね神様と戦うなんて。ディオニュソスには多数の女兵士がいて勇敢に戦ったのですね。いわゆるアマゾネスですね。それをペルセウスは軍を率いて戦い、女兵士たちを殺したといいます。そして大将のディオニュソスまでペルセウスは殺してしまいます。神様を殺すなんてバチ当たりな。しかしディオニュソスはさすがは神様、奇跡的に生き返りペルセウスと和解したとのこと。


また、ペルセウスとアンドロメダの間で何人か子供がいましたが、その一人がペルセースといいペルシア王国の祖だと伝承があります。ペルシアという国名もペルセースにちなんだものでありますが、ペルセースの父であるペルセウスへのリスペクトもこめられているのではないかと。時は流れ、アケメネス朝ペルシアという中東一帯を支配した王朝がありまして、そこの王様のクセルクセス1世はギリシアとの戦争の前にペルセウスの祖国アルゴスに使者を派遣し、自分はペルセウスの子ペルセースの子孫であり、我々は同族同士であるためお互いが戦うことをやめようぜって伝えたと言います。ペルセウスが実在の人物かどうかわかりませんが、興味深いお話です。



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(円盤投げの像)

ペルセウスが意気揚々とペガサスにまたがり各地を飛び回っているとき、ペルセウスは海辺でクサリでつながれた女性を見かけます。さらに海から、ゴジラのようにでかくて恐ろしい怪物が出てきて、いまにもアンドロメダを食べようとしている。

その女性の名はアンドロメダ。エチオピア王国の王女で、アンドロメダ星雲の呼び名の元になっております。僕の世代だと「銀河鉄道999」の惑星アンドロメダを連想しますが、すみません脱線しましたw。それにしても王女がなぜ、まるで罪人のような扱いを受けているのでしょう。実は、カシオペアという王妃がいたのですね。カシオペアはアンドロメダの母でした。カシオペアは我が娘の美貌を誇りにおもっており、常日頃、自慢をしていたのです。そして、「女神さまより美しい」とまでいったのですね。

それで女神の怒りを買いました。女神はポセイドンに頼んで、怪物を使って思い上がった人間どもをこらしめようとしたのですね。その怪物はクジラの化け物でケートスといいました。前足には爪をはやし、アザラシのような東部、下半身は魚で津波まで起こす恐ろしい化け物です。ケートスとはギリシャ語で「くじら」を意味します。そんなケートスはエチオピア国を襲撃。女神は言ったのですね、「アンドロメダをいけにえとしてささげたら許してやる」と。いやあ、神様といは言え女性の嫉妬は恐ろしいですね。男の嫉妬も怖いけれどwともあれ、カシオペアの失言が原因で海の怪物に襲われる羽目になるのだからエチオピア国民もたまったモンじゃありません。国民の間からアンドロメダを差し出せって声は強まりませす。


事態を重く見たエチオピアの国王ケフェウスとカシオペアは泣く泣く我が娘をケートスのいけにえにささげたのですね。ところで、アンドロメダの絵画見てるとほとんど裸。まあ芸術家からみたら裸のほうが絵になるでしょう。鼻血が出ちゃいますねw



それはともかく、ペルセウスはケートスに襲い掛かりますが、いくらペルセウスでも怪物にはかないません。神からいただいた剣もケートスの体を通さない。それでペルセウスは袋からメデューサの首を取り出し、それをケートスに見せました。するとケートスはたちまち石化してしまいました。無事ペルセウスはアンドロメダを救出できたのです。ペルセウスはアンドロメダを間近に見て、その美しさに一目ぼれ。一方のアンドロメダからみたら、ペルセウスはまさに白馬の王子さま。

喜んだのがエチオピア国王ケフェウス。国王ケフェウスは「ほうびはなんでも取らせてやる」とペルセウスに言いました。ペルセウスはアンドロメダを嫁にほしい、たったそれでけでした。エチオピア王ケフェウスは快諾。アンドロメダも喜んだことでしょう。二人はめでたくゴールイン。

ちなみに、ペルセウスはもちろん、アンドロメダもカシオペアもケフェウス、それから怪物ケートスも神々によって天にあげられ星座になりました。ケートスはいまではクジラ座になっております。




ペルセウスとアンドロメダは盛大な結婚式をあげ、幸せ気分。そんな幸せもつかの間、ペルセウスの前に一人の男が待った!と部下を引き連れ式場にドカドカと乱入したのです。ピネウスという男で、アンドロメダの許嫁だったのです。ピネウスはアンドロメダをたすけるどころか、彼女がクサリにつながれた時さえ何もしなかったくせに、いざペルセウスと結ばれると、コノヤロー、俺のオンナを取りやがってと。嫉妬にかられたのですね。ピネウスたちはペルセウスを殺そうとします。結婚式場はまるで戦場のような荒れ模様になったのです。せっかくの結婚式をめちゃくちゃにされペルセウスは顔を真っ赤にして怒ります。


ピネウスはペルセウス目掛け槍を投げつけます。ペルセウスはとっさによけて、その槍を拾って、ピネウスの部下に投げつけました。見事命中。しかし、ピネウスの部下たちは次から次へとペルセウス一人の命を狙ってきます。いくらペルセウスが強くても、相手は大勢。かなうはずはありません。ペルセウスは叫びました。「私の味方になってくれるものは私から顔をそむけるように」って。

それからペルセウスは袋からメデューサの首を取り出して、自分に向かってくる敵たちに見せました。すると群がる敵はみな石になりました。あわてたピネウスは命乞いをします。「ペルセウスよ、あなたが憎くて襲ったのではない。ただ、アンドロメダを愛していただけだ。命だけは助けてくれ。」。しかしペルセウスは聞きません。ふだんは優しいペルセウスも一度怒りに火が付いたら止まりません。ペルセウスはピネウスにメデューサの首を見せました。ピネウスも石化してしまいました。

ペルセウスは約束通りメデューサを退治したことを領主ポリディクティスに報告するため、アンドロメダとともに母のいるセリーポス島へもどります。

セリーポス島に戻ると、ダナエが軟禁されていたのです。島の領主のポリディクテスが母ダナエにしつこく関係を迫ったのですが、ダナエがそれを拒否。ポリディクテスは漁師のディクティスもろとも軟禁したのですね。

ペルセウスはポリディクテスに謁見するなり、「約束のメデューサを打ち取ったぞ!母を返せ!」と叫びます。しかしポリディクテスはそれを拒否。命がけでメデューサを退治したのにその約束を反故にしたポリディクテス。怒りくるったペルセウスはメデューサの首をポリディクテスに見せたのです。一度怒りだしたらブレーキが利かないキャラだったのかな、ペルセウスは。相手が老人だろうと無礼な人間には容赦しないのでしょう。

たちまちポリディクテースは石化。ペルセウスは母とディクティスを救います。実はディクティスはただの漁師ではなくポリディクテース王の弟だったことがその時わかります。ペルセウスは驚きました。なにしろ自分たち親子の命の恩人が島の領主の弟だったんで。そしてディクティスはセリーポス島の新たな領主となりました。

ペルセウスは母とアンドロメダを連れいったん故郷であるアルゴスに戻りました。結婚の報告を祖父であるアクリシオスにしたかったのでしょうね。この続きはまた次回。


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(相関図)


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アンドロメダを助けるペルセウス)


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(乱入するピネウスに一派にメデューサの首をみせる)

ペルセウスはメデューサの首をとりにいきましたが、何しろ相手は見たものを石に変えてしまうという恐ろしいモンスターです。しかもメデューサの首は猛毒をだしてしまうとか。普通の袋にメデューサの首を入れたら、その袋が溶けてしまうほど、それほど恐ろしい毒なのですね。

そこで必要になるのが金糸で織った袋「キビシス」というもの。この袋にメデューサの首を入れても大丈夫というもの。があるのですが、このキビシスをニンプ(精霊)が持っているのですが、そのニンプの居場所がわかりません。

そのニンプの居場所を知っているのがグライアイという3人の老女。ペルセウスはグライアイのもとへ訪れます。グライアイは三人で一つの目、一つの歯をもっている、なんとも不思議な老女でした。ペルセウスはグライアイにニンプの居場所を聞き出すが、三人とも「知らん」としらを切ります。怒ったペルセウスはグライアイの目玉を取り上げ、「いわないと、この目の玉をつぶすぞ」って脅したのですね。慌てたグライアイはペルセウスにニンプの居場所をおしえたのですね。

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(ニンプに見守られ武装するペルセウス)
そうしてニンプのもとに訪れたペルセウス。ニンプたちはペルセウスを快く迎え入れ、キビシスをくれたのですね。準備万端なペルセウスはいざメデューサのもとへ向かいました。メデューサは一人ではなく、上に姉が一人、下に妹が一人いたのです。メデューサ達3姉妹はゴルゴン三姉妹といわれ人々に恐れられていたのです。ちなみに見たものを石に変える能力があったのはメデューサだけだったそうです。メデューサの姿は実に恐ろしく髪の毛は蛇、目は血走っていて、イノシシのような鋭い牙、それはそれは恐ろしい姿でした。

ペルセウスは神々からもらった鎧を身に着けて戦ったはずなのですが、メデューサ退治をしたときのペルセウスの絵画や銅像を見ていると、ほとんど裸なんですよね。アンドロメダを助ける時のペルセウスの絵画とか他のシーンの絵画を見てると、例外もあるがたいていペルセウスは服なり鎧なり着てるのに。


まあ、芸術家としてみれば、鎧で身を固めたペルセウスより鍛え抜かれた針金のような筋肉の細マッチョにしたほうが絵になるし、ある意味ペルセウスらしいと思ったのでしょうね。それか、もしかしたらペルセウスは鎧は重いし、カチャカチャ音が鳴るからメデューサに気づかれてしまうと思ったのかもしれない。それで鎧を脱いで身軽な状況でメデューサと戦ったのかなって僕は勝手な想像をしていますw

ペルセウスは神からいただいた盾をつかって、メデューサのもとに近づきました。直接見ると石になるので、鏡のように磨かれた盾を使い、盾に映ったメデューサの動きを見ながら、ペルセウスはメデューサの首を取ったのです。その首をニンプからもらったキビシスに入れたのです。さらに、メデューサから飛び散った首が岩にしみつき、その岩がなんとペガサスになったのですね。真っ白な馬で翼までついててなんともふしぎな馬です。ペルセウスはペガサスにまたがって、その場を離れたのです。ペガサスもすぐにペルセウスになつきました。メデューサの姉妹たちが、仇を取ろうとしましたが、ペルセウスに追いつきません。

さて、ゴルゴン3姉妹はもともと恐ろしい化け物だったのでしょうか。実は三姉妹は美人三姉妹と言われるほどだったのです。しかし、三姉妹とくにメデューサはうぬぼれやで、いつも自分の美貌さを自慢していて、神よりも美しいといってはばからなかったのです。それで女神アテネは怒って、三姉妹を醜い化け物に変えてしまったのです。また、メデューサは海の神ポセイドンとできてしまい、それでアテネが怒って化け物に変えたという伝承もあります。

また、メデューサはギリシャ神話では恐ろしい化け物として描かれておりますが、トルコでは神さまのような扱いで、トルコの首都イスタンブールにある地下神殿にはメデューサの首の石像があるほど。トルコではメデューサの首をかたどった銅像は魔除けとして扱われ、それがシルクロード経由で日本にも伝わりました。そうしてメデューサの石像は鬼瓦のもとになったともいわれております。鬼瓦は魔除けとして日本でも広く使われております。

そうしてメデューサ退治をしたペルセウスはペガサスにまたがり意気揚々と世界各地を飛び回りました。飛んでる最中、キビシスからメデューサの血が垂れたのですね。その血が地上に落ちて来るやいなや、その血が蛇になったといいます。

そしてペルセウスは西の果ての国、へスペリアにつきます。へスペリアには巨人アトラスが住んでおりました。暗くなったので、ペルセウスはアトラスにいいました。「もし立派な家柄の人を受けいれるというのであれば、私はゼウスの子です。どうか一晩とめてください」って頼んだのです。しかしアトラスはそれを拒絶。なぜでしょう?アトラスが見た目に似合わず器が小さい人だったから?違います。実はへスペリアには黄金のリンゴがある園がありました。それについてアトラスは女神テミスに言いつけられたのです。「アトラスよ、いつかゼウスの子がお前が大切にしている黄金のリンゴを奪いに来るぞ」って。アトラスは、ペルセウスこそ、そのゼウスの子だと思ったのですね。

しかし、無欲なペルセウスは黄金のリンゴなど興味ありません。一晩泊めてくれればそれでよかったのです。そうしたアトラスのつっけんどんな物言いにペルセウスは激怒。しかし、相手は山のように大きな巨人。力が強いペルセウスといえど、かなう相手ではありません。そこでペルセウスは「よろしい、私をもてなすのが嫌なら、これを見よ!」ってアトラスにメデューサの首を見せたのです。するとアトラスは石化、それどころか、石になったアトラスは、だんだん山の形になって、ひげと髪も樹木となりました。それから体は西方に果てしなく広がったのです。そうしてできたのがアトラス山脈だといわれております。え、アトラス山脈ってどこかって?アトラス山脈はアフリカ大陸の北西部にある山々で、モロッコ、アルジェリア、チュニジアにまたがり、全長は約2500 kmです。4000メートル級の山々がいくつもある、壮大な山脈です。

またアトラスといえば別の伝承があって、オリンポスの神々に歯向かい戦いを挑んだものの、破れて、生涯、地球を支える役目を負わされたという話もあります。ペルセウスの伝承にせよ、そのオリンポスの神々の伝承にせよ、アトラスは気の毒な人だなって。



(アトラス山脈の動画)


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(メデューサを退治したペルセウスの絵 )

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(メデューサを退治したペルセウスの像。)

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(アトラスとペルセウス)


今日は史実の歴史ではなく、神話をお話します。神話や伝説も時に史実なみ、いや史実以上に後世のひとに影響を及ぼすことがあるので。ギリシャ神話の二大英雄と言えば、ペルセウスとヘラクレスです。メデューサと戦ったペルセウスと、怪力無双のヘラクレス。じつはペルセウスとヘラクレスは血縁関係で、両者ともゼウスの子とされております。ペルセウスの話を数回に分けてお話したいと思います。

ペルセウスはダナエとゼウスの間にできた子です。ダナエとはアルゴスという国の王女でそれは、それは美しい美女だったそうです。

ゼウスと言えばギリシャ神話で全治全能の神であり、少々スケベwな神様で、あっちの女、こっちの女に手を出しては子供を作って、それで妻のヘラに怒られていたのです。ゼウスと言えば、ビックリマンチョコについているおまけのシールにスーパーゼウスというキャラが出てきました。もちろん、ギリシャ神話のゼウスがモデル。僕が子供のころビックリマンチョコがはやりましてね。チョコのおまけについているシールをみんなこぞって集めていました。このスーパーゼウスの性格もエッチなのですが、この年になってギリシャ神話の本を改めて読んで、ゼウスって本当にエッチな神様だったんだって驚いたほどです。



で、ペルセウスは決して家族から望まれて生まれてきたわけじゃないのです。実は、ペルセウスの母、ダナエの父である、アルゴス王アクリシオスがペルセウスのことを疎ましく思っていたのです。ペルセウスが生まれる前、アクリシオスが神託を受けたのです。「あなたは、自分の孫に殺されてしまう」と。それをおそれたアクリシオスは自分の娘であるダナエを幽閉して、男が寄り付かないように警戒したのです。子供が生まれることを恐れたのです。ところが、銀の雨に姿を変えたゼウスがダナエに接近しようとしたのですね。銀の雨はダナエが閉じ込められている部屋の中にまで入ってきて、銀の雨に打たれたダナエはみごもったのです。そして、ペルセウスがおぎゃーと産声をあげたのです。

慌てたのが、アクリシオス。アクリシオスはなんと自分の子であるダナエと孫のペルセウスを箱舟に乗せて流してしまうのですね。我が命惜しさに娘と孫を海に流すなんてひどいなって。たいていの親は、自分の命を代えてでも子を守るし、まして祖父母にとって孫はかわいい存在。僕も祖母にかわいがられたし、「ドラえもん」に出てくる、のび太のおじいちゃんはタイムマシーンで未来からいきなりやってきた、のび太を、すぐに自分の孫だと理解し、何の疑いもなく受け入れたほど。のび太のおじいちゃんは、のび太が生まれる前に亡くなっているのに、一目で自分の孫だとわかるのだからすごいね。


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(島にたどり着いたペルセウス親子)

そうして海に流されたものの、ダナエ・ペルセウス親子は、セリーポス島に漂着したのです。箱舟に乗っている親子を地元の漁師が発見。漁師の名前はディクティスといい、ディクティスはダナエ親子を大事にしたのです。そして月日は流れ、ペルセウスはたくましく立派な若者に成長。体つきも細マッチョ、顔も母ダナエに似て美しく、いわばイケメン。現在にいたら芸能界行ってたかも。

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(ペルセウスの銅像)

そんな折、島の領主であるポリディクテスがしつこくいいよるのですね。ダナエはシングルマザーとはいえ、美人だったからポリディクテスは惚れてしまうのです。そしてポリディクテスはペルセウスから母ダナエを奪ってしまうのです。母に合わせてくれとペルセウスは泣いてポリディクテスに懇願するのですが、合わせてもらえず。ポリディクテスの城の入り口で兵士たちに追い返されてしまう。それどころか、ペルセウスに対して、「怪物のメデューサの首をとってこい、そうしたら母に合わせてやる」と命令するのです。これはドラえもんで言う、ヘソでラーメン食べるよりw大変なことでした。なにしろメデューサは見たものを石に変えてしまうという恐ろしい怪物で、いままで何人もの勇者がメデューサ退治に行きましたが生きて帰ったものは誰もいなかったのです。

ポリディクティスにとってペルセウスの存在は邪魔な存在でした。ペルセウスを殺すのは簡単だが、あんまりあからさまにやるのはまずい。それでポリディクティスはペルセウスにメデューサ討伐を命じたのですね。どうせペルセウスは生きて帰れないだろうと。

ペルセウスはメデューサー退治に意気揚々と出かけてしまうのです。若気の至りといいますか、恐れを知らぬといいますか。

しかし、いくらペルセウスが神の血を引くとはいえ、メデューサに立ち向かうのは無謀というもの。そんなペルセウスに神様たちがみかねて助力をするのですね。ヘルメスからは空を翔ける力を持つ羽付きサンダルを、アテナからは鏡の様に磨かれた盾と、冥府神ハーデスからは装備者の姿を消せる「隠れ兜」を貸し与えられたのです。こうして神様たちの助力を得たペルセウスはメデューサのもとに行くのです。こうした神様たちの助力を得られたのはゼウスの血を引くものというのも理由の一つですが、ペルセウスの人柄の良さも買われたのだと思われます。


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(ペルセウスを囲む人物たちの相関図。最小限にまとめました。)

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